【タイ人と働く】技能実習生制度は必ずしも悪ではない
最近日本の話題で、技能実習生の劣悪な環境&家畜労働が酷すぎるなどが話題となっているようですので、リアルな現場(タイ側)から記事にしてみようと思いました。
みなさんこれだけ話題になっているので、日本での労働者確保のために外国人を受け入れる制度「技能実習生制度」についての説明は省きます。
私が現在在籍している在タイ日系企業(製造業)でも、日本本社でタイ人実習生を受け入れています。
先日、日本へ招くタイ人候補性の選別のための面接も行きました。
タイ人実習生が日本で働きたい理由
技能実習生の日本への派遣方式には二種類あります。
企業単独型と団体監理型です。
うちの会社のように、企業で面接してタイ人を選び日本に実習に行ってもらうのは企業単独型です。今日はこの話です。
技能実習生は、タイ側での「送り出し機関」を通して、日本側での「受け入れ機関」があって初めて成立します。
そこを通さないと日本での実習は認められない決まりだそうです。
わが社がお世話になっている送り出し機関は、日本での団体生活を模した寮付きの学校で日本語などを学んだタイ人候補生を紹介してくれます。
10数名のタイ人候補生が、一人ずつ自己紹介から何故日本で働きたいかなど熱心に話してくれました。
<日本に行きたい理由>
- お金のため(両親の借金返済・兄弟の学費・将来のための貯金)
- 日本で仕事を覚えてタイの日系企業で働きたい
主にこの二つの理由からでした。
日本で働けば月収18万円~もらえて、技能実習生制度で3年も働けばかなりの貯金が出来るでしょう。
そのために、候補生たちは何十万円もの送り出し機関の登録&学費を払ってきているのです。
彼らからしてみれば、月収18万円(約6万バーツ弱)は工場のオペレーターレベルでは絶対に稼ぎ出せない金額です。
また、日本式の仕事や日本語を覚えたら、給与の良い日系企業への就職も出来ます。
実際に私の働くタイ工場にも、実習生として日本で学んだタイ人社員が数名いますが、最初からリーダー職でみんなよりスタート給与も高いです。
日本語もまあまあ出来るので、非常に助かっています。
日本の製造業では外国人のチカラが必要とされている
日本の製造業の現場は常に人手不足です。
高齢化社会も進み、ますます工場での人手が足りません。
今や外国人労働者の手を借りないと、なりたたないのが現状だそうです。
製造業で求人募集を出しても全然応募者が来ないし、来ても仕事がきつくてすぐに辞めてしまうのだとか。
また、わが社長の話ですが溶接やらプレスやら手作業での技術が必要な現場において、タイ人は非常に優秀で、未経験から始めても日本人労働者の3倍の速度で仕事を覚えてくれるそうです。
「タイ人は仕事が遅い」なんて在タイ日本人からの声をタイではよく聞きますが、そんなことはありません。
勉強熱心で将来への目的意識も高くまじめなタイ人実習生が、日本へたくさん派遣されているのです。
技能実習生はどこに派遣されるかで人生変わる(と思う)
いま日本で話題になっている、外国人労働者の労働環境が劣悪だとか家畜労働させられて酷いとか残業代未払いだとか、技能実習生制度は人身売買だとか、悪の評判の方が目立っているかと思います。
確かに、そのような現場はあるのだろうし受け入れ先の日本の企業が酷い会社で、酷い目にあっている可哀そうな実習生もいるのは事実だと思います。
雇用主が外国人労働者を下に見て、人間扱いしていないような悪人だとそういう事態にもなりかねません。
私も数年前に、外国人実習生の残業代未払い裁判の傍聴にも行った経験があります。
そのため、これまで私も悪の制度だと思っていました。
今回実際に面接に行ってタイ人候補生や「送り出し機関」と「受け入れ機関」の人たちの話を聞いて、考え方が変わりました。
この制度は悪だ廃止だとしてしまうと、適正なお給料で綺麗な寮も用意して、仕事も日本語もしっかり教えてタイ人に満足して帰国してもらっている多くの優良企業が困ってしまいますし、希望を持って日本に行きたいと思っているタイ人たちの夢を奪うことになると思います。
善良な「送り出し機関」と「受け入れ機関」が、しっかりと監視・監理してくれて受け入れ企業がちゃんとしていれば、外国人実習生の不幸もなくなるんじゃないかなと。
まだまだ法整備もしっかりされてない不安定な制度ですが、人手不足の日本の製造業や、日本で働いて経験を積みたいタイ人労働者の夢を叶える良い制度になって欲しい、、。
現にわが社にいる日本から帰ってきたタイ人たちは、また日本で働きたいなーって言っています。
すべての外国人実習生に、そう言ってもらえるような日本になって欲しいなと願うばかりです。
以上、現場(タイ)からでした。
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